取組好事例

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2025.12.01

株式会社ヤマグチマイカ

シルバー 製造業 豊川市 31~100名

事例を重ね、休みやすい風土を醸成

1951年の創立以来、天然鉱物であるマイカ(雲母)を粉砕加工した「マイカパウダー」を中心に製造販売する素材メーカーです。
2016年にCSR経営を宣言し、自社だけでなくサプライチェーンを含めた「環境」、「労働と人権」、「倫理」および「原料調達」におけるサスティナビリティ実現に向けてCSR活動に取り組んできました。
なかでも、従業員の健康や働きがいを重視し、休日設定の柔軟化・休暇取得のあり方の見直しなどの休み方改革を通じ、ワーク・ライフ・バランスの充実と生産性向上による経済の活性化の実現を目指しています。

有給休暇取得促進実施内容

有給休暇の取得状況

平均年次有給休暇取得率
89.8%(2025年)

有給休暇取得促進の取組

  • ・2023~2027年までの5年間に毎年1日ずつ会社休日を増加
  • ・完全週休2日制の導入
  • ・半日単位、時間単位の休暇付与制度の導入
  • ・子の看護等休暇日数を増加、更に対象を小学6年生修了までに拡大
  • ・介護休暇日数を増加

認定企業に申請した背景と、取得後の効果を教えてください。

これまでの取組をカタチに

申請のために何か特別なことをしたわけではなく、法定を上回る休暇制度の整備など、これまで自社で継続して取り組んできたことが「愛知県休み方改革マイスター企業」の認定基準と合致していたため、「これまでの取組をカタチにしたい」という思いで申請しました。
はじめは、休暇を取得すると迷惑をかけるのではと不安を口にする従業員もいましたが、実際に休んでみると「なんとかなる」ことがわかり、誰かが休んでも業務が滞らない体制がつくられていきました。事例が増えることで、育児中の従業員の働き方を、子育て経験のある従業員が積極的にサポートする風土もできあがり、休みやすい環境が整備されていきました。

有給休暇取得促進に関する取組について教えてください。

年次有給休暇取得率3年連続80%超を実現

2019年4月の働き方改革関連法施行により「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられたことをきっかけに、会社のカレンダーに有休奨励日を設けました。管理職にも部下の有休取得促進の責任があることを伝えたり、取得が難しそうな人に声かけを行ったりすることで、徐々に有休取得が浸透していきました。
「奨励日があると取りやすい」ということで始めましたが、奨励日を設けなくても休暇を取得する土壌ができたため、年々、奨励日の日数を減らして、2025年から廃止し、各々のタイミングで取得できるよう制度をカイゼンしました。こうした取組により、有休取得率は3年連続で80%超を実現しています。さらに、使い切れなかった休暇を積み立てできる「サポート休暇」制度も導入しました。
間接業務に従事している者はある程度自分で予定が組めるため、誰かが休んでも業務が円滑に進む仕組みを構築しています。また、製造業務は生産計画に沿って動いているため、事前に申請があれば計画自体を見直すなど、臨機応変に対応しています。

会社休日を5年間で毎年1日ずつ増加

誰もがいきいきと働き続けられる環境づくりに向けて、半日単位・時間単位の休暇を認めるほか、2023年から2027年までの5年間で会社の所定休日を1日ずつ増やすなど、休暇制度を拡充させています。現在の年間休日は115日ですが、117日まで増やすことが決定しており、生産計画に影響がないか検証しながら、最終的に年間休日120日を目指し、制度の見直しを進めています。

法定を上回る制度で仕事と育児の両立支援

小学4年生以降学童保育が利用できないなどの実情を鑑み、「子の看護等休暇」の対象者を出生時から小学校6年生修了まで(法定:小学校3年生まで)、「養育両立支援休暇」の対象者を出生時から小学校6年生修了まで(法定:3歳から小学校就学前)にそれぞれ拡大しました。また、産後パパ育休として、2024年は1人が65日間、2025年は1人が99日間取得しました。
我々中小企業にとって、人材確保の点でも、柔軟な働き方の実現は避けて通れない課題です。経営層には、どのような事情を抱えている従業員がいて、法定通りの制度だと何に困り、退職のリスクを回避するには何が必要かを時系列に沿って説明していきます。普段、従業員と直接接していない経営層にも納得してもらえるよう、工夫を凝らしながら制度の拡充を図っています。

休み方にまつわる福利厚生を、
どのように求職者にPRしているか教えてください。

休暇が取りやすい環境をアピールし、働く安心材料に

会社説明会では、CSR活動の一環として、休み方も含めた福利厚生についてPRしています。
例えば、面接時に「前職で休みが取りやすかったか」をヒアリングして、前職で休みが取りづらかった方はもちろん、きちんと休みが取れていた方にも、当社が他社に引けを取らない環境を整備しており、安心して働けることをアピールしています。また、シルバー認定については求人サイトでのPRのほか、当社のホームページ「<CSR取り組み>CSR活動」(https://yamaguchi-mica.com/csr/activities.html)に公開しております。

今後の課題を教えてください。

社内に周知し、取組を推進

法律上は、出勤率が8割未満の場合、翌年の有給休暇付与は0日でもよいこととなっています。認定基準には入っていませんが、2025年10月1日から、出勤率8割を切っていても出勤率に応じて休暇を付与する制度を開始しています。
休暇制度の充実や柔軟な働き方に取り組んでも、自分が利用する立場にならないとピンとこない、というのは正直あると思います。「新しい制度ができました」と周知しても、今の環境が当然であり、他社も同等と思っている従業員は少なくありません。会社が努力と工夫を重ね、従業員に対してどのような想いで制度づくりを行っているのか、従業員に伝わるような見せ方・周知の仕方が今後の課題です。

申請を検討している企業へ
メッセージをお願いします

カイゼンの種は従業員の声にあり。声を出しやすい環境を整備

たとえ社内制度に満足していたとしても「この取組はいいですね」と声が上がることはほとんどありません。声が上がるのは会社に対して要望がある時です。「〇〇だったら、働けます」「△△してほしい」などの要望があれば、どこを拾い上げ、何をカイゼンするか相談しながら吟味していきます。
人事総務課担当者から「最近、お子さんはどう?」「奥さんはお元気?」など雑談のような会話から、状況を把握することもあります。面談、会社方針発表会のフィードバック、所属長経由、人事総務課に直談判など、意見の届け方はさまざまですが、カイゼンの種は従業員の声にあります。声を出しやすい環境整備が大切だと思います。

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